特徴

GETFLOWSの新機能(バージョン7)​

前バージョンからの変更点​

  • 完全陰解法を採用するGETFLOWSにおいて、線形ソルバーのチューンニング効果を改良することで、1.4~2.8倍の高速化を実現。​
  • 問題に応じて最適な解法を選択できるように、前処理6種、反復解法12 種を選択可能としました。​
  • 非線形反復計算(ニュートン・ラフソン法)の改善。​
  • 解析モデルの任意の範囲の水収支を簡易に出力可能な機能を追加。​
  • 河川流量や地下水位などを即時にグラフ表示するツールを開発。​
  • 入力形式の構造化し、Excelなどでも整備可能なCardInputの導入。従来形式からの変換ツールも開発いたしました。​
  • オンラインマニュアルの整備

GETFLOWSとは

従来から、河川流出解析、氾濫解析、地下水解析、それらを概念的或いは物理的に結合した陸域水循環モデルが欧米やわが国で多数開発され、多くの研究者・技術者の利用や実際の意思決定等に供されています。

『GETFLOWS(ゲットフローズ)』(GEneral purpose Terrestrial fluid-FLOW Simulator)は、東京大学登坂博行教授によって、従来困難であった地上・地下相互作用解析を可能とする新たな数値解析技術として開発されました。地圏環境テクノロジーは、東京大学よりGETFLOWSの技術移転を受け、その開発継続と保守・普及を事業として取り組んでいます。

また、多相多成分(例えば、Gas/Water系、Water/Liquid 系、Gas/Water/Liquid系)の概念に基づく定式化、熱や土砂、化学物質の輸送をすることが可能で極めて統合された地圏流体シミュレーションシステムとなっています。並列処理も利用でき、非常に大規模な3次元問題、例えば、数千平方キロメータ以上の領域の水循環を数百万個オーダーの離散格子を使って非定常解析することも可能となり、実用的で信頼性の高い予測・評価を行うことができます。

主な適用分野は、ダム建設計画や流域資源量評価における貯水・渇水量予測、地下水盆帯水層評価などの『水資源問題』、洪水・氾濫予測、豪雨時における斜面崩壊、津波侵入などの『水災害問題』、重金属、農薬等による土壌・地下水汚染や放射性廃棄物の地層処分などに代表される『水環境問題』です。​

シミュレーションシステムの特徴は以下のとおり。

  • 流体の保存則(質量保存則、熱量保存則)を厳密に解く完全陰的差分法による解法​
  • 3次元コーナポイント型差分格子による空間表現柔軟性、独自の高速ソルバー(前処理付き共役残差法)によりロバストな数値的安定性を実現、逐次陽化処理による高速化機能を搭載​
  • 変化の著しい領域(格子群)を個別に解き,袖領域でのコミュニケーションを行いながら全体系の解を得る領域分割機能を搭載​
  • PCクラスタを用いた並列計算により、数百万格子規模の大容量高速計算を実用化

GETFLOWSの対象とする水循環過程の概念図

水の流れを切れ目なく解析する

地上に降り注いだ雨が地下へ浸み込み、地盤中を流動し、一部が谷地へ湧き出し渓流水となって流下する、地下へ浸み込めない場所では、地表水となって直接流出する、自然本来の切れ目のない水の流れを解析します。

地圏空間における一般流体システムの表現

対象フィールドを6面体格子により離散化し、格子毎の流体相・流体成分(水、気体、非水相流体)と土や岩石の固相の状態量(圧力、飽和率、温度、濃度など)を解き、一般流体システムのダイナミクスを解析します。

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