淡水資源にフォーカスしたTNFD支援サービス提供を開始
MS&ADインターリスク総研株式会社
株式会社地圏環境テクノロジー
MS&ADインターリスク総研株式会社(取締役社長:一本木 真史)と株式会社地圏環境テクノロジー(代表取締役社長:田原 康博)は、淡水資源にフォーカスしたTNFD関連支援サービス提供を開始しました。
MS&ADインターリスク総研が20社を超える※1自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に沿った情報開示対応を支援する中で淡水資源は多くのセクターで優先度が高く、自社やバリューチェーン上での依存・インパクトの可視化・定量化ニーズが高いテーマです。
本サービスは、MS&ADインターリスク総研の自然関連コンサルティングノウハウに、地圏環境テクノロジーが有する全世界を対象とした水循環を可視化する水文モデルGETFLOWSを組み込むことで、開示に留まらず目標設定や具体的な対応策検討にも活用できるサービスを提供します。
1.背景
2023年9月にTNFD開示提言が正式にリリースされました1)。TNFDでは自然を「大気」「淡水」「海」「陸」の4つの領域に分けていますが、IPEBES(生物多様性および生態系サービスに関する政府間化学政策プラットフォーム)によると2)、淡水生態系は1970年以降84%劣化しており、最も劣化している生態系と言われています。製造業の多くは、その製造過程で水を使用し、使用後は排水として環境中に排出しています。また、サプライチェーンの特に上流では原材料や製品の生産に水を必要としています。
TNFDではロケーション(地域)ごとに自然への依存とインパクトを把握し、リスクと機会を特定することが期待されます。そのためには、事業が関わる流域の水循環の理解が求められますが、モデル構築と水循環の解釈のためには高い専門性が必要となります。
2000年代から生物多様性分野の企業向けコンサルティングを提供し、豊富な実績を有するMS&ADインターリスク総研と全世界を対象とした流域水循環モデルGETFLOWSを有する地圏環境テクノロジーが協働することで、淡水資源をテーマにTNFDの提唱するLEAPアプローチ※2に即した評価を科学的な根拠に基づき支援します。
1):自然関連財務情報開示タスクフォースの提言(2023年9月)
2):The global assessment report on Biodiversity and Ecosystem services
※1:2023年9月~2024年4月現在の実績
※2:TNFDが提唱する自然関連リスク・機会の評価をサポートするための手法
2.淡水資源にフォーカスしたLEAP支援サービスの全体像
本サービスはLEAPアプローチに即した手法として開発しています。3つのアプローチで構成しており企業のLEAP評価状況に応じて、どの段階からでもご提供可能となります。
Service1:優先地域の特定
図 地域の絞り込み |
■自社工場やサプライチェーン上に広がる多数の対象地域・施設から優先地域を特定します。
■優先地域はTNFDで推奨される下記観点について、水資源や淡水生態系に特化した指標設定を行い評価します。
- 生物多様性の重要性
- 生態系の十全性
- 水の物理的リスク
- 生態系サービス供給の重要性
- 組織の重大な依存やインパクト
Service2:優先地域における依存とインパクトの評価
■流域の水循環を可視化することで取水や排水などの事業活動が依存しうる、あるいは、インパクトを与える自然の状態や生態系サービスの範囲・規模を評価します。
依存・インパクト評価の一例 | |
取水 | ・取水が依存する重要エリア評価(下図) ・取水による地下水低下の影響 |
排水 | ・自社の排水の流域や重要エリアへの影響 |
図 取水が依存する重要エリア評価
※上図は対象地点の地下水取水が依存する涵養域を示すとともに涵養域の一部に保護地域が含まれることを表しています
Service3:優先地域におけるリスクと機会の評価
■依存とインパクトの評価結果を踏まえて、気候変動や森林伐採、水質汚染などの開発圧による自然の状態や生態系サービスの変化(例えば、地下水資源の変化)を評価し、事業にとってのリスク・機会を評価します。
リスク・機会評価の一例 | |
気候変動 | ・気候変動による水資源量変化が取水に与えるリスク評価 |
土地利用 | ・植林による水資源量変化、生態系変化の機会評価 |
水質変化 | ・農地増加による自社取水の水質リスク評価(下図) |
図 施肥による影響領域評価
以上