工場等のNAPL(非水相流体)漏洩による汚染と対策

概要

水と容易に混ざり合わない液体は非水相液体Non-Aqueous Phase Liquid:NAPL)と呼ばれ、水より軽いLNAPL(Light NAPL、石油類、有機溶剤など)と水より重いDNAPL(Dense NAPL、有機塩素系溶剤など)があります。工場等の操業中や移転時にこれらの漏えいによる地下の汚染(土壌汚染、地下水汚染)が発見され問題となることがあります。汚染の程度によって、土壌の入れ替え、掘り返し・燻蒸、遮水壁・揚水井戸の設置、浄化壁設置、空気の注入による浄化(エアースパージング)、微生物を利用した浄化(バイオレメディエーション)などが行われます。付近に地下水利用がある場合には、水にわずかに溶けたNAPLの汚染範囲を考慮する必要があります。
統合型水循環モデルは、地下地盤中における水相、空気相、汚染原液相の3相同時流れを追跡し、対策のための有用な情報をご提供します。解析では、地下地盤の水理物性、物質毎の流体物性(比重、粘性係数など)を与え、NAPL 相の移動し易さ(3相流の毛管圧曲線、相対浸透率曲線)、NAPL相が不飽和帯の空気や地下水と接触することで生じる揮発・溶解(相間移動)を同時に考慮することができます。シミュレーションにより、対象領域内の汚染状況(地下水相中の溶存NAPL濃度、ガス相中の揮発NAPL濃度、水相・ガス相・NAPL相の飽和度、地下水流速など)が描き出されます。また、エアースパージング等の効果の検討、浄化壁の効果検討などに適用することができます。

事例

非水相液体(NAPL)は、地下水相への溶解と移流分散過程を考慮した多相多成分系シミュレーションによって解析が可能です。下図は工場地下のDNAPLの汚染シミュレーションの解析事例です。

汚染原液(DNAPL)の地下浸透

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